▼シナリオ背景
探索者達は後天的な多重人格者である。 かつて地球に降り立ったミ = ゴは人間が持つ心の研究を行 なっていた。 それは長らく人の脳に宿るものだとされていたが、とある 一体のミ = ゴはこれに疑問を持ち 2 人の人間を使って心の 在りどころを調査する実験を行うことにした。実験体の脳 を入れ替え、その体にどちらの人格が現れるのか観察しよ うと考えたのだ。 この実験に利用されたのが、幼い日の探索者達である。 探索者達は元々仲良しの幼なじみだった。 ある日の夏、裏山で遊んでいたところ近くにあった鉱石の 採掘場にいたミ = ゴに攫われ、実験を施された。 この実験の際、脳を移植する手術に耐えきれなかった片方 の体は死んでしまい、片方だけが脳を入れ替えられた状態 で生き残った。この時生き残ったのが、PC1 の体に PC2 の脳を入れられた個体である。 実験直後、その体に現れたのは脳が持つ人格 (PC2) であっ たが、ミ = ゴは経過を観察するために探索者を処分せず、 家へと送り返すことにする。この時、ミ = ゴは体が死んで しまい入る場所の無くなってしまった PC1 の脳を脳缶にし て PC2 へと返してやった。
こうして体は PC1、人格は PC2 となった探索者達は家へ 帰ることになるが、その外見のため PC1 として生活を送る ことになる。実験直後の人格である脳の探索者 (PC2) は実 験の一部を目撃し、自分の体に起きたことを理解してはい たが、その辛すぎる現実を受け入れることができず、PC1 の脳缶を友人そのものであると思い込むようになった。 自分の身に起きた現実を否定しその記憶を忘れ、友人も自 分も生きているのだと思い込むことにしたのだ。
PC1 の脳缶は帰ってすぐの頃にはわずかな単語を話してい たものの、次第に衰え、いつしか何も口にすることはなく なった。
- 生き残りたければ、もう一人を殺せ -
2
その頃、入れ替わるようにして生き残った探索者の体には 2 つ目の人格、PC1 としての人格が現れ始めていた。 それが PC2 の作り上げた人格なのか、体に残された記憶 から生まれた人格なのか定かではないが、こうして探索者 達は自覚のないまま後天的な多重人格者となってしまっ た。
そうして自覚のないまま互いが互いに存在する友人として 生きてきた探索者の脳にある日限界が訪れる。
1 つで 2 人分の人生を処理してきた探索者達の脳には多大 な負荷がかかっていたのだ。 そのまま生活を続ければ、探索者の人格は双方とも崩壊し、 廃人となってしまうだろう。これを回避するにはどちらか 1 人の人格を消してしまわなければならない。
このシナリオの舞台は、探索者の脳内である。 脳のオーバーフローによって昏睡状態に陥った探索者の脳 内で、あやふやになってしまったここ数日の記憶を彷徨い ながら、自分の身に起きている出来事を理解し、そして未 来を決めなければならない。
果たして探索者は、どのような明日を選ぶだろうか。